
整形外科で手足が痺れる病気って何があるの?



脊髄が狭窄して起こる症状だね!
狭窄部位によって様々な症状や種類があるから、
一つ一つ確認していこう!
脊柱管狭窄症とは?
様々な症状脊椎疾患により脊柱管や椎間孔が狭窄すると、神経組織(馬尾・神経根)を圧迫し、圧迫部位の阻血や脳脊髄液の還流不全を起こすため、神経組織が栄養不良をきたし、特有の神経症状を呈すること。発生部位としては腰部が最も多く、次いで頸部が多い。


腰部脊柱管狭窄症の原因は?
腰部脊柱管の原因は、加齢による退行変性が多く、他に骨代謝疾患によるものや先天性のもの医原性のものがある。


腰部脊柱管狭窄症の特徴は?
腰椎の加齢による変性によって、脊柱管や椎間孔内外の狭窄が生じるため、50歳以上で好発する。
脊柱管の狭窄によって馬尾が圧迫されるもの→馬尾型
脊柱管の狭窄によって神経根が圧迫されるもの→神経根型
もっとも特徴的な症状は、長時間の歩行で下肢の痛みやしびれ感が生じる間欠跛行がある。
単純X線およびCTで腰椎の変性を、MRIで硬膜管や椎間孔の狭窄を確認する。特にMRIは3方向から行い、椎間孔内外(椎間孔周辺)の狭窄を見逃さないことが大事。


腰部脊柱管狭窄症の症状は?
神経性間欠跛行
間欠跛行とは、しばらく歩行すると疼痛やしびれなどの出現や増悪により歩行困難となるが、数分間の安静により再び歩行可能となる症状のこと。神経性間欠跛行では、前屈(屈曲)したり、しゃがむ姿勢をとることにより、神経組織の圧迫が解除・軽減され、出現した症状が速やかに消失する。
馬尾症状
馬尾障害によって生じる症状のことを馬尾症状という。馬尾症状は神経根症状と異なり、疼痛ではなく異常感覚(しびれなど)を訴える。また、症状は必ずしも安静時に見られるとは限らず、長時間の立位や歩行、後屈位により生じることが多い。第4腰椎変性すべり症に伴って発症することが多く、この場合、第5腰神経以下の多根性障害となる。


神経根症状
神経根障害によって生じる症状のことを神経根症状という。主な症状は下肢や臀部の疼痛であり、疼痛は片側性であることが多いが、両側性を呈することもある。症状は必ずしも安静時に見られるとは限らず、長時間の立位や歩行、後屈位により生じることが多い。L4/L5の狭窄による第5腰神経根障害であることが多い。


治療方法
腰部脊柱管狭窄症は自然軽快が得られることが多いため、まずは保存療法がおこなわれる。しかし、会陰部のしびれや灼熱感、膀胱直腸障害などの馬尾症状を呈している場合では、自然軽快傾向が認められないことが多く、手術療法を検討する。特に尿閉をきたした場合は早急に手術を行わないと予後不良となる。
保存療法
薬物療法
プロスタグランジン製剤(PEG1)、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、アセトアミノフェン(カロナールなど)、プレガバリン(リリカなど)、弱オピオイド(トラマールなど)、抗うつ薬(サインバルタなど)
間欠跛行に対して、馬尾神経の血流改善作用を目的としてPEG1製剤が用いられる。腰下肢疼痛に対しては従来NSAIDsが広く用いられてきたが、胃腸障害や腎障害などの副作用から、高齢者への使用を控える傾向にある。
理学療法
腰椎コルセット、運動療法、温熱療法、骨盤けん引
ブロック療法
硬膜外ブロック、選択的神経根ブロック
手術療法
除圧術(椎弓切除術)
後方から椎弓を掘削し、肥厚した黄色靱帯および椎間関節の一部を切除して硬膜管と神経根を露出する。


除圧固定術
椎弓切除術に加えて椎間関節や椎間板腔に骨を移植し、さらに椎弓根スクリューを用いた内固定を行う。


予後と合併症
約30~40%は保存療法で改善し、3~4年で10~15%が悪化する。
重症の場合、保存療法よりも除圧術が優れているが、術後も再狭窄の可能性はある。
下肢痛を主訴とする神経根型→保存療法の反応が良く、改善しやすい。
馬尾型における下肢のしびれ感→術後も馬尾症状が残存することが多いく、特に両足底部のしびれ感は残ることが多い。
予後不良因子 | 予後良好因子 |
抑うつ 心血管疾患 側弯の存在 高齢 | 術前の歩行能力が高い 健全な精神 中心性狭窄 |