ハイブリッド気象病について|天気のせいだけじゃない、危険な頭痛の見分け方も必見
あずかん「ハイブリッド気象病」という言葉、最近テレビやネットでよく見かけますよね。「雨の前になると頭が痛くなるのって、これのこと?」「家族もずっとだるそうだけど大丈夫かな?」と、気になって検索された方も多いと思います。
外来でも「天気のせいにするなんて、私が弱いだけかな…」と、申し訳なさそうに話してくださる患者さんがいらっしゃいます。でも、天気で体調が揺れるのは、あなたの気持ちの問題ではありません。
この記事では、気象病の基本から話題のハイブリッド気象病まで、詳しく説明します。
そもそも気象病、ハイブリッド気象病ってなに?
そもそも「気象病」ってなに?
気象病は、天気の変化(特に気圧の上がり下がり)をきっかけに、体の不調が出たり強くなったりする状態のことで、代表的な症状には、頭痛、めまい、肩こり、関節の痛み、だるさ、眠気、気分の落ち込みなどがあります。
仕組みを車に例えてみますね。
・耳の奥(内耳) は、体についた「気圧センサー」です。
・自律神経 は、体の「アクセルとブレーキ」です。
気圧が大きく変わると、センサーが「変化が来たよ!」と強く反応します。すると、アクセルとブレーキの切り替えがギクシャクして、運転が荒くなったような状態になり、痛みやだるさとして出てくる、と考えられています。センサーが敏感な方ほど、反応しやすいといわれます。
話題の「ハイブリッド気象病」とは
「ハイブリッド」は、「2つが組み合わさったもの」という意味があります。ニュースなどで使われている「ハイブリッド気象病」は、気圧の変化だけでなく、暑さ・寒さの急な変化(寒暖差)や湿度の変化など、いくつかの天気の要素が重なって不調が出やすくなる状態を指して使われています。
ナースからひとこと
私が知る限り、「ハイブリッド気象病」は病名として正式に決まっているものではなく、気象病の考え方をもとにした、いわゆる呼び名のようです。ニュースによって説明の細かさが少し違うこともあるので、気になる報道があれば、その発信元(病院や学会の情報)も合わせて見てみてくださいね。
ここ数年は、猛暑のあとに急に冷え込んだり、台風や大雨が続いたりと、天気の揺れが大きいですよね。センサーも自律神経も「休む間もなくずっと働きっぱなし」になりやすく、不調を感じる方が増えている、というイメージです。
現場でよく聞かれる!「3つのギモン」
「天気で具合が悪くなるなんて、気のせいや甘えじゃないですか?」
いえいえ、全然そんなことはありませんよ。気圧の変化が体に影響することは、研究でも少しずつ分かってきています。「気のせい」と言われて悩んできた方ほど、「ちゃんと理由があるんだ」と知るだけで気持ちが軽くなることも多いです。
ただ、天気のせいだと思っていたら別の病気が隠れていた、ということもゼロではありません。だから「天気のせいかな?」と思っても、つらさが続くときは一度相談してほしいんです。
「病院は何科に行けばいい?お金や検査はどのくらいかかるの?痛い検査はある?」
まず、症状で選んでもらえば大丈夫です。
・頭痛が中心 → 脳神経内科、頭痛外来、脳神経外科
・めまいや耳鳴り → 耳鼻咽喉科
・関節の痛み → 整形外科
・気分の落ち込みや眠れなさ → 心療内科、精神科
・どこか迷う → かかりつけ医、内科
最初は、いつ、どんな天気のとき、どんな症状が出るかを聞いて、診察や必要に応じた検査を行うのが一般的です。頭の画像検査(CTやMRI)や耳の検査をすることもありますが、基本的に痛みを伴うものではありません。
費用は、保険診療の範囲で受けられる検査や治療がほとんどです。ただ、かかる金額は症状や検査の内容、病院によって変わります。心配なときは、受付や会計で「だいたいどのくらいかかりますか?」と聞いて大丈夫ですよ。
お薬は、症状に合わせて、頭痛薬、めまいを和らげる薬、漢方薬などが使われることがあります。自己判断で市販の痛み止めを飲み続けると、かえって頭痛が増えてしまう場合もあるので、月に何日も飲んでいるなら相談してくださいね。
「持病があっても大丈夫?家族(高齢の親・子ども)にも当てはまりますか?」
持病がある方、特に片頭痛、関節の病気、自律神経の不調、気分の波がある方は、天気の影響を感じやすい傾向があるといわれています。だからこそ、今の治療を自己判断でやめたり、足したりしないで、主治医に「天気で悪化するみたいです」と伝えてみてください。
高齢の方は、「いつもの年齢のせい」と見過ごされがちです。お子さんも、頭痛や腹痛、機嫌の悪さとして出ることがあります。「雨の日はいつも調子が悪いな」というパターンに、周りの方が気づいてあげられると心強いです。
今日からできる「おうちでの対策」と「受診のサイン」
おうちでできること
- 「天気と体調ノート」をつける
日付、天気、症状、飲んだ薬をメモするだけでOKです。スマホのメモや、気圧の予報が分かるアプリも便利です。パターンが見えると、診察でも伝えやすくなります。 - 「崩れる前」に先回りする
気圧が下がる日の前に、早めに寝る、予定を詰め込みすぎない、といった「備え」をすると、車の運転が荒れにくくなります。 - 生活リズムを整える
睡眠、食事、起きる時間をできるだけそろえます。自律神経(アクセルとブレーキ)は、毎日のリズムが安定していると切り替えが上手になります。 - 首・肩まわりを温め、耳のまわりをやさしくほぐす
蒸しタオルや入浴でゆっくり温めると楽になる方が多いです。耳を軽くつまんで回す程度で十分で、強くやりすぎないでくださいね。 - 寒暖差を小さくする工夫
羽織りものを1枚持ち歩く、冷房の風が直接当たらないようにするなど、体への「急な変化」を減らします。 - 水分をこまめに、無理のない範囲で
暑い時期は特に、のどが渇く前に少しずつ飲むと安心です。 - お薬の飲みすぎに気をつける
「念のため」で痛み止めを毎日のように飲んでいると、かえって頭痛が続く原因になることがあります。
こんなときは受診してください!
- 天気が悪い日の不調が月に何回もあり、仕事や家事に影響している
- 痛み止めを月に10日以上飲んでいる
- 不調が数週間以上続いている
- 気分の落ち込みや眠れない日が続いている
- めまいと一緒に、耳鳴りや聞こえにくさが出る
すぐに救急車(119番)を呼んでほしいサイン
「天気のせい」と決めつけず、次のような症状はすぐに助けを呼んでください。
・突然の、今までに経験したことのない激しい頭痛
・ろれつが回らない、顔がゆがむ、片方の手足に力が入らない
・意識がもうろうとする、呼びかけへの反応が鈍い
・胸の痛みや強い息苦しさ
・高熱、首が固くて動かせないほどの頭痛
また、暑い時期は熱中症も気象病に似た症状(頭痛、だるさ、吐き気)が出ます。体が熱い、汗が止まらない、またはまったく出ない、といったときは熱中症の可能性もあるので、涼しい場所で休んで水分をとり、良くならなければ受診してください。