最近、医療現場で話題となっている「3.13全国統一ストライキ」。
しかし全然全国ニュースでは取り上げられることはありません。
今回はそんな「3.13全国統一ストライキ」を紹介していきます。
日本医療労働組合連合(医労連)ってなに?
まず最初に、今回のストライキを呼び掛けている日本医療労働組合連合(以下、医労連)について紹介していきます。
医労連とは、病院や診療所、福祉施設などの職場で働く労働者・労働組合でつくられる、日本で唯一の医療の「産業別労働組合」です。
現在、医労連は、7全国組合・47都道府県医労連で構成され、約17万人が加入しています。医療労働者の賃金・労働条件について、産別統一要求を掲げ、組合のない職場を含む医療労働者全体の労働条件向上をつなげるために日々奮闘しています。
どうしてストライキをするの?
現在、全国の医療現場で問題となっているのは、ケア労働者の低賃金による大量離職です。
昨年の全国医療機関・介護施設のボーナス支給では、どの現場も大幅引き下げとなっており、正職員では昨年実績から約6万円マイナスの約47万円でした。
また、昨年春の賃上げ状況も、全産業の平均が1万1961円であるのに対し、医療福祉の平均はそのおよそ半分の6876円と、昨今の物価高騰に全く対応できない状況となりつつあるのです。
さらに、看護師は夜勤を行わないと正社員として扱われないことが多く、日勤のみの看護師はパート扱いとなってしまいます。この時のパート看護師としての平均時給は、1817円で地方になるほど低くなります。地域によっては、時給1110円前後となってしまい、派遣事務員などの方が時給を上回ることが起きてしまっています。
命を預かり、常に気を張らせている現場では、もうすでに医療者のやりがいだけではどうにもならない状態が長く続いています。
市民や患者に影響はないの?
2022年英国で大規模なストライキが行われたことがニュースになりました。この時は看護師のほかに救急隊員、通信指令室のスタッフなど多くの人がストライキに参加をし、その影響により、約1万9000人の患者が診療や手術の延期を余儀なくされました。
今回の「3.13全国統一ストライキ」では、看護職員や介護職員らの賃上げが必要なことを広く社会にアピールしつつ、政府に具体策を講じるように訴える予定となっています。
ストライキは、患者・利用者の命や健康が守られる範囲で実施され、サービスの提供が止められるなどの深刻な事態を招かないように一部の職員にとどめたりと、患者・利用者・市民に大きな影響はないようです。
しかし、看護職員・介護職員の離職が止まらなければ、人材の確保が難しく、病棟閉鎖や病棟数削減が進み、地域住民に必要な時に必要な医療を受けることが出来ない状況、つまり医療崩壊が目前に迫っているのは確かです。医療崩壊が起きてしまうと、患者・利用者・市民に大きな影響が出てしまいます。そうならないことを願っています。