先日、2024年の合計特殊出生率が厚生労働省より発表されました。その数値は「1.15」。これは過去最低を更新するものであり、9年連続の減少となります。このニュースに衝撃を受けた方も多いのではないでしょうか。
今回は、この最新の合計特殊出生率とこれまでの推移を確認し、もしこのまま少子化が食い止められない場合、私たちの生活に不可欠な医療現場がどのような影響を受けるのかを考えていきたいと思います。
最新の合計特殊出生率とこれまでの経過
2024年の合計特殊出生率は1.15と、前年の1.20からさらに0.05ポイント低下し、過去最低を記録しました。これで9年連続の減少となり、少子化の進行に歯止めがかからない状況が続いています。
合計特殊出生率とは、一人の女性が生涯に産む子どもの数の平均を示す指標です。人口を維持するためには2.07程度が必要とされていますが、現状はそれを大きく下回っており、日本の人口減少が加速していることを示しています。
過去の推移を振り返っても、日本の出生率は長期的に減少傾向にあります。要因としては、晩婚化・非婚化の進行、経済的な不安定さ、子育てと仕事の両立の難しさなど、様々な社会的・経済的背景が複雑に絡み合っていると考えられます。
少子化が医療現場に与える深刻な影響
では、このまま少子化が進行すると、医療現場は具体的にどのような状況に陥るのでしょうか。
- 医療従事者の不足
まず懸念されるのが、医師や看護師といった医療従事者の不足です。少子化は、将来の労働力人口の減少を意味します。医療分野も例外ではなく、若い世代のなり手が減ることで、医療サービスの提供体制そのものが揺らぐ可能性があります。特に、地方や過疎地域では、より深刻な人手不足に直面するでしょう。 - 医療需要の構造変化と負担増
少子高齢化が同時に進行することで、医療需要の構造も変化します。高齢者の割合が増えれば、慢性疾患や介護を必要とする患者が増加し、医療現場の負担はますます増大します。一方で、小児科や産婦人科など、子どもを対象とする診療科は患者数が減少し、経営が困難になるケースも出てくるかもしれません。 - 医療技術の継承問題
医療技術の高度化が進む一方で、それを担う若い世代が減少すれば、熟練した医療従事者から若手への技術や知識の継承が難しくなる恐れがあります。これは、将来的な医療の質の低下に繋がりかねません。 - 社会保障制度への影響
国民皆保険制度など、日本の手厚い医療保障制度は、現役世代の保険料負担によって支えられています。少子化によって支え手が減少すれば、制度維持のための財源確保が困難になり、医療費の自己負担増など、国民一人ひとりの負担が増加する可能性も否定できません。
今後の課題
少子化は、医療現場だけでなく、社会全体に関わる大きな課題です。この問題に対して、私たち一人ひとりが無関心でいることはできません。
子育てしやすい社会環境の整備、働き方改革の推進、経済的支援の拡充など、社会全体で取り組むべき対策は多岐にわたります。そして、私たち自身も、この問題を自分事として捉え、どのような社会を目指すべきか、声を上げていくことが重要です。
未来の医療、そして社会を持続可能なものにするために、今こそ真剣に考え、行動する時なのかもしれません。
記事を制作するにあたって参考にしたサイト
厚生労働省 令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)の概況