人工関節周囲の骨折ってなに?
・人工股関節全置換術(THA)や人工膝関節全置換術(TKA)を受けた患者の人工関節が入った部分に起こる骨折。
・インプラント周囲骨折ともいう。
・人工関節が妨げになって、スクリューが骨を貫通できず、固定が非常に難しい。(特にTHA後)
・人工関節手術の件数が増えたため、ぺリプロ骨折も増加傾向。
・英語ではperi-prosthetic fracture とよぶため、日本の整形外科医は「ぺリプロ」と省略している。
どう診断するの?
・治療方針を決定するために必要な、人工関節のゆるみの評価が難しい。(人工関節の再置換が必要か、そのまま整復内固定でよいか判断しなければならない。)
・CT画像での確認は必須。
・人工関節の種類や骨折の仕方によって、評価の分類が変わる。
・Vancouver分類(THA後の場合)
・Lewis and Rorabeck分類(TKA後の場合)
・Su分類(TKA後の場合)
治療方法は?
THA後
・ステムゆるみがある→長いステムの人工関節で人工股関節再置換術を行う。
・ステムのゆるみがない→プレートとケーブルワイヤーで整復内固定を行う。
TKA後
・ほとんどが大腿骨側での骨折。
・ステムのゆるみがある→ステム付き人工関節で人工膝関節再置換術を行う。
・ステムのゆるみがない→プレートで整復内固定を行う。
予後は?
基本的に術翌日からリハビリを開始するが、骨粗鬆症が強く骨折部の固定力に不安がある場合などは手術後2~3週間待機することがある。また、患側の荷重歩行も、骨癒合を評価しながら術後6~8週間経過してから行うことが多い。
すでに人工関節を入れる手術を受けている付近の手術のため、骨癒合が進まず再手術が必要になる可能性がある。また、術後のリハビリまでの待期期間や患側の免荷期間が長期に渡ることから、歩行能力が受傷前より低下し、股関節や膝関節の可動域が悪くなることがある。
参考文献
患者がみえる新しい「病気の教科書」 整形外科
病気がみえる11 運動器・整形外科