【失敗談】二重記録って、もうないですよね?

バイタルサインの記録ミスでヒヤリ。電子カルテと紙カルテの併用で起きた私の失敗談

現役看護師の皆さん、毎日の業務お疲れ様です。 中堅看護師として働く私も、新人時代にはたくさんの失敗を経験しました。今回の失敗談は、バイタルサインの記録ミスです。幸いにも患者さんに実害はありませんでしたが、一歩間違えれば大きな医療過誤につながる可能性もあり、今でも鮮明に覚えています。

今回は、私の新人時代の失敗談を共有することで、特に新人看護師の皆さんが同じようなミスを防ぐためのヒントになればと思います。

電子カルテと紙カルテの「二重記録」が生んだ悲劇

私が入職した頃、病院ではすでに電子カルテが導入されていました。しかし、完全移行期だったのか、一部の記録は紙カルテにも手書きで転記するという、今思えば非効率でリスクの高い業務が残っていたのです。

その一つが、バイタルサインの記録でした。

電子カルテに入力したバイタルサイン(体温、脈拍、血圧、呼吸数、SpO2)を、今度は手書きで紙カルテに記載する。この「二重記録」の作業が、私のミスの温床となりました。

色の違いが招いた混乱と書き間違い

さらに問題を複雑にしていたのが、電子カルテと紙カルテでバイタルサインを示す「色」のルールが異なっていたことです。

  • 電子カルテ上の血圧: 赤色のグラフで表示
  • 紙カルテ上の血圧: 黒色のペンで記載

新人だった私は、日々の膨大な業務と緊張感の中で、この色の違いに混乱してしまいました。そして、ある日ついにやってしまったのです。

電子カルテの画面に表示された、赤いグラフ(血圧)の数値を、紙カルテに赤いペン(本来は脈拍用)で記入してしまいました。

すぐに先輩看護師が気づいてくれて事なきを得ましたが、もし気づかれなければ、その後のアセスメントに影響を与え、患者さんの状態変化を見逃すことにつながっていたかもしれません。血の気が引くとは、まさにこのことでした。

なぜミスは起きたのか?個人だけの問題ではない構造的な課題

このミスは、単に私の不注意だけが原因だったのでしょうか。もちろん、確認を怠った私に一番の責任があります。しかし、今振り返ると、そこには「ミスが起きやすい構造的な問題」が潜んでいたと感じています。

二重記録という非効率な業務フロー
電子カルテと紙カルテへの二重入力は、単純に業務負担を増やすだけでなく、転記ミスのリスクを倍増させます。

統一されていないルール
媒体によって記録ルール(今回の場合は色)が異なることは、ヒューマンエラーを誘発する大きな要因です。

形骸化した慣習
「誰も紙カルテでバイタルサインなど見ていなかった」という事実。にもかかわらず、慣習だからという理由だけでリスクのある業務が続けられていました。

私の反省と、新人看護師の皆さんへ伝えたいこと

この経験から、私は以下のことを学びました。

「なぜ?」と疑問を持つことの大切さ
「昔からこうだから」で思考停止せず、業務の目的や意味を考える癖をつけることが重要です。非効率でリスクのある業務は、勇気を持って「やめる」提案をすることも、患者さんを守るために必要な姿勢だと学びました。

「おかしい」と感じる感性を信じる
少しでも「やりにくいな」「間違えそうだな」と感じたら、それは改善のサインです。ぜひ、その違和感を大切にして、先輩や上司に相談してみてください。

失敗を次に活かすこと
誰でもミスはします。大切なのは、ミスを隠さず報告し、なぜ起きたのかを振り返り、二度と同じ過ちを繰り返さないための対策を考えることです。

幸い、私の病院ではその後、紙カルテへのバイタルサイン転記は廃止されました。私のミスが直接のきっかけかは分かりませんが、業務改善が進んだことは確かです。

まとめ

新人時代は、覚えることも多く、緊張の連続で、心身ともに大変な時期だと思います。しかし、その時期に経験する「ヒヤリハット」や失敗には、必ず学びがあります。

私の失敗談が、皆さんの日々の業務における安全意識の向上と、業務改善のきっかけに少しでもつながれば嬉しいです。一緒に安全な看護を目指していきましょう。

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