大腿骨頭壊死症の観察項目

大腿骨頭壊死症の観察項目とその根拠を徹底解説!

あずかん

大腿骨頭壊死症は、太ももの付け根にある大腿骨頭の一部が、血流の低下によって壊死してしまう病気です。骨が壊死すると、その部分がもろくなり、体重を支えきれずに潰れてしまう(圧潰)ことがあります。原因はまだ完全には解明されていませんが、ステロイドの大量使用やアルコールの多飲が関連していると考えられています。

この病気の一番の問題は、壊死した骨が潰れることによる「疼痛の増強」と「関節機能の低下」です。早期に変化を捉え、適切なケアにつなげることが、患者さんのQOLを維持するために非常に重要になります。

術前の観察項目と根拠

観察項目(WHAT)根拠(WHY)
1. 痛みの部位、程度、性質股関節痛が主な症状です。
安静時痛の有無、歩行時痛の程度(VASスケールなどで評価)を確認し、鎮痛薬の効果を評価します。
痛みの増強は、骨の圧潰が進行しているサインかもしれません。
2. ADLの変化痛みによる歩行能力の低下(杖の使用、歩行距離の短縮)、靴下を履く・爪を切るといった股関節を曲げる動作の困難さなどを確認します。ADLの制限は、患者の精神的な苦痛にも繋がります。
3. 関節可動域(ROM)の制限特に股関節の内旋・外転(内側や外側に開く動き)が制限されやすいです。無理のない範囲で確認し、機能低下の程度を把握します。
4. 精神的・社会的側面働き盛りの年代に発症することも多く、疾患による痛みや活動制限が、仕事や家庭生活への不安、抑うつにつながることがあります。患者の言動や表情から、精神的なサポートの必要性をアセスメントします。

人工関節置換術後の観察項目と根拠

観察項目(WHAT)根拠(WHY)
1. バイタルサイン術後の全身状態(特に発熱や頻脈の有無)を把握し、感染やショックの兆候を早期に発見します。
2. 創部の状態術創からの出血、腫脹、発赤、熱感、滲出液の有無を確認します。
これらは創部感染のサイン(SSI: 手術部位感染)である可能性があります。
3. 術後の痛み術後の疼痛コントロールは、早期離床とリハビリテーションの鍵です。硬膜外麻酔やPCA(自己調節鎮痛法)の効果、鎮痛薬の必要性を評価します。
4. 深部静脈血栓症(DVT)の兆候下肢の腫脹、疼痛、発赤、熱感、ホーマンズ徴候の有無を確認します。長期臥床や手術侵襲により、下肢の静脈に血栓ができやすくなります(肺塞栓症のリスク)。弾性ストッキングの着用や間欠的空気圧迫法の実施も重要です。
5. 脱臼の兆候最重要項目の一つです。 特に後方アプローチの場合、股関節の「屈曲・内転・内旋」を同時に行うと脱臼しやすくなります。患肢の短縮・外旋、激しい痛み、股関節が動かせないといった症状がないか、常に注意します。
6. 末梢の循環・神経症状足背動脈の触知、足先の冷感やチアノーゼの有無、足趾の動きやしびれの有無を確認し、循環障害や神経損傷が起きていないかを評価します。
7. リハビリテーションの進捗理学療法士と連携し、リハビリの進捗状況や患者さんの意欲、疲労度などを把握します。脱臼予防のための禁忌肢位の理解度も確認し、日常生活での注意点を繰り返し指導します。
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