【看護師の本音】「先生に伝えておいて」はもう限界!多職種連携の”伝書鳩”から脱却するために
「薬剤部ですけど、この処方について先生に確認お願いできますか?」 「リハビリです。荷重の件、先生に聞いておいてください」 「検査科です……」
ナースステーションで記録を書いている最中、処置の準備をしている最中、次々とかかってくる他部署からの内線。 看護師として働く中で、私が最も疲弊し、そして危機感を覚えているのが、この『看護師を経由した医師への伝言依頼』です。
今回は、チーム医療の名の下に行われている「看護師の伝書鳩化」の弊害と、なぜ直接コミュニケーションが必要なのか、我々看護師の視点から切実な願いを綴ります。
看護師は「医師への直通電話」ではありません
まず、他職種の皆さんに一番知っていただきたいことがあります。 それは、「あなたたちが医師と連絡がつかない時は、私たち看護師も連絡がつかない」ということです。
「看護師さんなら、病棟にいる先生を捕まえられるでしょ?」 「PHSですぐ繋がるんでしょ?」
そう思われがちですが、医師が手術中や処置中、外来診療中であれば、私たちであっても連絡は取れません。医師の忙しさは全職種共通の壁です。「看護師を通せば魔法のように繋がる」わけではないのです。
それなのに、連絡がつかないストレスを看護師への依頼で解消しようとするのは、根本的な解決になっていません。
伝言ゲームが招く「業務停止」と「医療安全のリスク」
私が「直接話してほしい」と願う最大の理由は、単に「忙しいから」だけではありません。
情報の質と精度の問題です。
「詳細がわからない」という致命的なタイムロス
例えば、リハビリスタッフから「Aさんのリハビリ進行について先生に確認して」と頼まれたとします。 私が医師を捕まえて伝えます。「先生、Aさんのリハビリどうしますか?」 医師は必ずこう聞き返します。 「今のADLは?バイタル変動は?本人の訴えはどうなってるの?」
私は答えられません。リハビリの専門的な評価を見ていないからです。 「確認して折り返します……」 そう言って電話を切り、またリハビリスタッフに確認し、再度医師にかける。
この「不毛な往復」の間、我々の本来の看護業務は完全にストップします。検温も、点滴の更新も、患者さんのケアもすべて後回しです。
専門家の言葉は、専門家が伝えるべき
薬剤師さんが疑義照会をする際、検査技師さんがパニック値を報告する際、そこには専門的な知見があるはずです。 それを専門外の看護師が「伝言」として預かることで、ニュアンスが抜け落ちたり、医師からの鋭い質問に答えられず「使えない」と怒られたりします。
医師からすれば「なんで専門家である君が直接掛けてこないんだ!詳しく話を聞きたいのに!」となります。当然の反応です。
なぜ「伝書鳩」を引き受けてしまったのか
ここで、看護師としての自身の反省も記しておかなければなりません。 なぜ、ここまで「なんでも屋」になってしまったのか。
- 「自分がやった方が早い」という思い上がり
- 新人の頃、「わかりました、聞いておきます!」と引き受けることが、多職種連携だと思っていました。自分が間に入ることで場が回るなら、と。それが結果として「看護師に言えばなんとかなる」という誤った成功体験を他職種に与えてしまいました。
- 医師への遠慮を他職種と共有してしまった
- 「先生、今機嫌悪いから他職種からはかけにくいよね、私がタイミング見るよ」という、変な庇い立てをしていました。これはチーム医療ではありません。単なる「医師のご機嫌伺いチーム」を作っていただけでした。
お互いの専門性を尊重するために、直接話してください
多職種の皆さん、どうかお願いします。 医師への確認事項、報告事項は、直接医師へ連絡してください。
皆さんがつながらない時は、私たちもつながりません。
専門的なことは、専門家である皆さんが直接伝えた方が、患者さんのためになります。
医師も、専門家からの直接の意見を求めています。
私たちは、看護のプロとして、看護の視点からの情報を医師に伝えます。 リハビリのプロ、薬のプロ、検査のプロである皆さんも、どうか自信を持って、直接医師とコミュニケーションを取ってください。
それが、真の意味での「チーム医療」であり、患者さんの利益を守る最短ルートなのです。
これからの連携の形
これからは勇気をもってこう返したいと思います。 「その件は専門的な判断が必要になるので、先生に直接相談してもらえますか? その方が先生も詳細が分かって助かると思います」と。
これは意地悪ではありません。
「伝言ゲーム」による医療事故を防ぎ、それぞれの専門性を発揮するための、前向きな提案です。
そして、私たちと一緒に、患者さんのために「質の高い、直接的なコミュニケーション」を行っていきましょう。