静脈血栓塞栓症について

あずかん

安静中の患者さんにとって、とても危険な静脈血栓塞栓症。
この記事では、静脈血栓塞栓症について詳しく説明していきます。

目次

静脈血栓塞栓症(VTE)とは

静脈血栓塞栓症(VTE)は、血管内に血栓ができ、血管を詰まらせたり、血流に乗って肺などの別の場所に移動して血管を詰まらせたりする疾患で、深部静脈血栓症(DVT)と肺血栓塞栓症(PTE)の2つを併せた名称である。

深部静脈血栓症(DVT)は、下肢や骨盤などの深部静脈に血栓ができる疾患で、足の腫れや痛みなどが症状として出現する。この血栓が剥がれて血流に乗り、肺の血管に詰まると、肺血栓塞栓症(PTE)となり、呼吸困難や胸の痛みなどを引き起こし、重症の場合には命に関わることもある。

VTEの危険因子と予防策

危険因子
人工関節置換術
外傷(骨盤骨折など)
下肢の悪性腫瘍
下肢のギプス固定
抗リン脂質抗体症候群
VTEの既往
長期臥床
高齢

予防策
早期離床
積極的下肢運動

弾性ストッキング着用
間欠的空気圧迫法
抗凝固法

VTEの症状と検査

深部静脈血栓症(DVT)

症状
患肢の疼痛、腫脹、熱感、浮腫、表在静脈の怒張 など
Homans徴候(足関節を背屈強制したときの腓腹部の自発痛)
Lowenberg徴候(腓腹部の把握痛、低圧でのマンシェットによる加圧時の疼痛)
  ※症状が揃わなかったり、無症候の場合もある

検査
Dダイマー
下肢静脈エコー
造影CT

肺血栓塞栓症(PTE)

症状
SpO2低下、冷汗、胸痛、呼吸困難、血圧低下、ショック心停止、失神 など
術後や長期安静解除後の離床後に発症しやすい

検査
心電図
動脈血ガス
心エコー
造影CT

VTEの治療

整形外科では、予防的に抗凝固薬の投与や術後DVTの有無の確認のため、ルーチン化されていることが多い。
そのため、ここでは急性PTEに遭遇した場合の対応方法を紹介していく。

PTEを発症した場合は、ショックや心停止などにより致死的になることがある。そのため、初期対応をしっかり確認することが必要である。

急変時の対応
バイタルサインチェック、酸素投与、静脈ラインの確保、胸部単純X線撮影
動脈血酸素飽和度モニター、心電図の装着、動脈血ガス分析
担当医に報告、循環器内科へコンサル
心エコー

参考文献
患者がみえる新しい「病気の教科書」 整形外科
病気がみえる11 運動器・整形外科

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