持続的尿道カテーテルについて

持続的尿道カテーテルについて 固定位置から合併症、看護のポイントまで徹底解説!

あずかん

尿道カテーテルの管理は、病棟看護師にとって最も基本的な看護技術の一つです。しかし、「なぜこの患者さんはカテーテルを入れているんだろう?」「固定位置は下腹部と大腿部、どっちが正しいの?」など、日々の業務の中で疑問に思うことも多いのではないでしょうか。
この記事では、持続的尿道カテーテル(バルーンカテーテル)の基本から、自信を持ってケアを提供するための応用知識までを網羅的に解説します。


目次

持続的尿道カテーテルとは?その目的と仕組み

持続的尿道カテーテルは、先端にバルーンが付いたカテーテルを尿道から膀胱内へ挿入し、一定期間留置する医療機器です。

仕組み
カテーテルを膀胱内に挿入した後、カテーテル側面のポートから滅菌蒸留水を注入し、先端のバルーンを膨らませます。このバルーンが栓の役割を果たし、カテーテルが膀胱から自然に抜け落ちるのを防ぎます。カテーテルを通じて、膀胱内に溜まった尿が持続的に体外へ排出(ドレナージ)されます。


なぜ留置する?カテーテル留置の適応

尿道カテーテルを留置する目的・適応は様々です。主に以下の5つに分類されます。

  1. 尿閉の解除
    • 前立腺肥大症や神経因性膀胱などにより、自力で尿を排出できない(尿閉)状態の際に、膀胱内に溜まった尿を排出させるために留置します。
  2. 正確な尿量測定
    • 心不全や腎不全、術後管理など、厳密な水分出納管理(IN-OUTバランス)が必要な場合に、時間尿や日尿を正確に測定するために留置します。
  3. 手術・検査のため
    • 長時間の手術中に膀胱が尿で過度に膨らむのを防いだり、術野を確保したりする目的で留置します。泌尿器科系の手術では、術後の安静や治癒を促進するためにも用いられます。
  4. 膀胱・尿道の安静保持
    • 膀胱や尿道に損傷があったり、手術を行ったりした場合に、その部位を安静に保ち、治癒を促すために留置します。膀胱洗浄が必要な場合にも適応となります。
  5. 終末期(ターミナル期)における患者の安楽確保
    • 失禁による皮膚トラブル(おむつかぶれ、褥瘡)がひどい場合や、体動が困難な患者の安楽を目的として留置することがあります。ただし、安易な適応は避け、必要性を慎重に検討する必要があります。

注意すべき合併症と観察項目

合併症観察項目
尿路感染症(CAUTI)
(カテーテル関連尿路感染症)
– 尿の混濁、浮遊物、異臭
– 発熱、悪寒、戦慄
– 膀胱刺激症状(頻尿感、残尿感)
– カテーテル周囲からの膿の排出
尿道損傷– 挿入時・留置中の痛み、出血
– カテーテル周囲からの尿漏れ
– 血尿
閉塞・屈曲– 尿の流出が停止する
– 下腹部膨満、腹痛、不穏
膀胱刺激症状– 残尿感、尿意切迫感、不快感
– 膀胱痙攣による下腹部痛
自己(事故)抜去– 患者さんがカテーテルを引っ張る、抜いてしまう
– 尿道損傷、出血のリスク

閉塞や感染時の対応

カテーテル管理中にトラブルが発生した場合、迅速かつ適切な対応が求められます。

閉塞が疑われる場合

1.まずルートを確認
カテーテルや蓄尿バッグのチューブが体の下で折れ曲がったり、ねじれたりしていないか確認します。
2.ミルキング
浮遊物による詰まりが考えられる場合、カテーテルを指でしごき、詰まりを解除します(医師や施設の指示を確認)。
3.膀胱洗浄
頻繁に閉塞する場合、医師の指示のもとで生理食塩水を用いて膀胱内を洗浄することがあります。
4.カテーテル交換
上記で改善しない場合は、カテーテル自体の閉塞が考えられるため、交換を検討します。

尿路感染症(CAUTI)が疑われる場合

1.医師へ報告
観察項目で挙げた症状が見られたら、速やかに医師に報告します。
2.検体採取
多くの場合、培養検査のための尿検体採取の指示が出るため、採尿ポートから無菌的に採尿します。
3.抗生剤の投与
医師の指示に基づき、抗生剤の投与が開始されます。
4.カテーテル交換
感染源となっている可能性があるため、抗生剤投与開始と同時にカテーテルを交換することが推奨されます。
5.早期抜去の検討
感染コントロールの観点から、カテーテルの必要性を再評価し、可能であれば早期に抜去することが最も効果的な対策です。

看護のポイント

固定位置:下腹部 vs 大腿部、どっちが正解?

カテーテルの固定位置は、患者の性別や活動状況によって変わります。目的は「尿道の屈曲を防ぎ、圧迫による損傷を予防すること」です。

男性:下腹部に固定
男性の尿道は、陰茎部で一度下向きに曲がり、その後恥骨のあたりで上向きにカーブしています(S字カーブ)。カテーテルを大腿(下向き)に固定すると、このカーブを不自然に引っ張ってしまい、陰茎陰嚢移行部の尿道を圧迫し、瘻孔(穴が開くこと)やびらんの原因となります。カテーテルを下腹部(上向き)に固定することで、このS字カーブが緩やかになり、尿道への圧迫を最小限にできます。
例外:車椅子などで座位が中心の患者や、肥満で下腹部固定が難しい場合は、大腿側面に固定することもあります。

女性:大腿部に固定
女性の尿道は短く(約3〜5cm)、ほぼまっすぐです。そのため、カテーテルを大腿内側(下向き)に固定しても、尿道を不自然に屈曲させるリスクが低いです。大腿部に固定する方が、患者の体動を妨げにくく、管理がしやすいとされています。
注意点:カテーテルを過度に引っ張らないよう、固定にゆとりを持たせることが重要です。

感染予防のためのケア

  • 陰部洗浄
    • 1日1回、石鹸と微温湯で陰部を洗浄します。特にカテーテル挿入部周囲は、分泌物が付着しやすいため丁寧に洗浄します。
  • カテーテル管理
    • 閉鎖式システムの維持:カテーテルと蓄尿バッグの接続は、検体採取時以外は外しません。不必要な接続部の解放は、感染の機会を増やします。
    • 逆流の防止:蓄尿バッグは、常に膀胱より低い位置に保持します。ベッド移動や体位変換の際も、バッグが膀胱より高くならないように注意します。
    • 尿の排出:バッグ内の尿が半分〜2/3程度溜まったら排出します。溜めすぎは細菌増殖の原因となり、重みでカテーテルが引っ張られる原因にもなります。

事故抜去の防止

  • 患者への説明
    • カテーテルの必要性や、なぜ抜いてはいけないのかを、患者の理解度に合わせて丁寧に説明します。
  • 適切な固定
    • テープや専用の固定具を用いて、カテーテルがしっかり固定されているか確認します。皮膚トラブルにも注意しましょう。
  • 環境整備
    • チューブがベッド柵に絡まったり、足に引っかかったりしないように整理します。
  • 鎮静・抑制の検討
    • せん妄などで理解が得られない場合は、医師と相談の上、鎮静薬の使用や、やむを得ず四肢抑制などを検討することもあります。

精神的・身体的苦痛へのケア

  • プライバシーへの配慮
    • 陰部洗浄やカテーテル操作の際は、カーテンやタオルケットを使用し、羞恥心に配慮します。
  • 不快感の傾聴
    • 患者が訴える尿意や違和感を傾聴し、カテーテルの屈曲や閉塞がないか確認します。共感的な態度で接し、不安を和らげるよう努めます。
参考資料
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