浮腫の観察項目

浮腫の観察項目とその根拠を徹底解説!

あずかん

看護の現場で頻繁に遭遇する「浮腫」。単なる「むくみ」と捉えがちですが、その背後には心不全、腎不全、肝硬変、低栄養など、様々な病態が隠れている可能性があります。的確なアセスメントとケアにつなげるためには、浮腫を正しく観察し、その意味を理解することが不可欠です。
この記事では、自信を持って浮腫のケアにあたれるよう、観察項目とその根拠を詳しく解説します。

目次

浮腫の観察項目とアセスメントの根拠

観察項目(WHAT)根拠(WHY)
1. 浮腫の部位と範囲
– 全身性か局所性か全身性の浮腫は、心臓、腎臓、肝臓などの内臓疾患や、低アルブミン血症が原因で起こることが多いです。
局所性の浮腫は、特定の部位の静脈・リンパ管の還流障害(DVT、リンパ浮腫)、炎症、血管透過性の亢進(アレルギーなど)が考えられます。
– 身体のどの部分か(顔、四肢、体幹など)重力の影響で、下腿や仙骨部など低い部位に現れやすいです(重力依存性浮腫)。
心不全では下肢に、腎不全では顔面(特に眼瞼)に現れやすいという特徴もあります。
腹水や胸水も体内の水分貯留であり、広義の浮腫と捉えられます。
2. 圧痕性浮腫の程度
– 指で圧迫し、くぼみが残るか圧迫によって間質液が移動し、くぼみ(圧痕)が残る状態を圧痕性浮腫と呼びます。これは、間質液の貯留が主な原因であることを示唆します。
– 圧痕の深さと回復時間圧痕の程度をスケールで評価することで、浮腫の重症度を客観的に記録し、経時的な変化を把握できます。

+1: わずかなくぼみ、すぐに戻る
+2: 4mm程度のくぼみ、10-15秒で戻る
+3: 6mm程度のくぼみ、1分以上続く
+4: 8mm程度のくぼみ、2分以上続く
3. 皮膚の状態
– 皮膚の色、湿潤、乾燥循環不全により皮膚が蒼白になったり、チアノーゼが見られることがあります。
皮膚が薄く伸展し、テカテカと光って見えることがあります(菲薄化・緊満)。
間質液が漏れ出し、湿潤している場合は、感染のリスクが非常に高くなります。
– 皮膚の損傷、水疱、びらんの有無浮腫のある皮膚は、わずかな刺激で傷つきやすくなっています(脆弱化)。
水疱形成や皮膚の亀裂は、感染の入り口となるため、特に注意が必要です。
4. 体重と水分出納
– 体重の増減(毎日同じ条件で測定)体重は、体内の水分貯留量を最も客観的に示す指標です。1kgの体重増加は、約1Lの水分貯留に相当します。
急激な体重増加は、心不全や腎不全の増悪を示唆する重要なサインです。
– In-OutバランスIn(飲水、食事、輸液など)とOut(尿、便、不感蒸泄など)のバランスを評価し、水分が体内に過剰に蓄積していないかを確認します。
5. バイタルサイン
– 血圧、脈拍、呼吸数、SpO2頻脈や血圧の上昇は、循環血液量の増加(心臓への負荷増大)を示唆します。
呼吸困難や頻呼吸、SpO2の低下は、肺うっ血や胸水の可能性を示唆します。
6. 随伴症状
– 呼吸困難、息切れ、咳、痰肺水腫(肺の間質に水がたまる状態)の徴候です。特に、横になると息苦しくなる起坐呼吸は、心不全の重要なサインです。
– 尿量の減少、尿の色腎機能低下による水分排泄の遅延が考えられます。
– 倦怠感、食欲不振全身的な循環不全や、原因疾患による症状として現れます。
7. 検査データ
– 血清アルブミン値低アルブミン血症(基準値:約4.0-5.0 g/dL)では、血管内に水分を保持する力(膠質浸透圧)が低下し、水分が間質に漏れ出して浮腫が起こります。肝硬変やネフローゼ症候群、低栄養でみられます。
– BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)心臓に負荷がかかると分泌されるホルモンです。BNPの高値は、心不全の重症度を評価する指標となります。
– 腎機能データ(BUN、Cr)腎機能の低下は、水分やナトリウムの排泄障害を引き起こし、浮腫の直接的な原因となります。

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