便秘の観察項目

便秘の観察項目とその根拠を徹底解説!

あずかん

今回は、多くの患者さんが抱える「便秘」について、看護師が知っておくべき観察項目とその根拠を、分かりやすく解説します。この記事を読めば、自信を持って便秘の患者さんのアセスメントができるようになります。

目次

なぜ便秘のアセスメントが重要なのか?

便秘は、患者さんのQOLを著しく低下させるだけでなく、食欲不振、腹部膨満感、さらには腸閉塞などの重篤な状態につながる可能性もあります。的確なアセスメントに基づいたケアは、患者の苦痛を和らげ、合併症を予防するために不可欠です。

便秘の観察項目とアセスメントの根拠

観察項目(WHAT)根拠(WHY)
1. 排便状況
– 最終排便日・時間3日以上排便がない場合は便秘と判断する一つの目安になります。排便習慣は個人差が大きいため、患者ごとの普段の排便パターンを把握することが重要です。
– 排便回数・リズム「週に3回未満」は便秘の定義の一つです。普段の回数やリズムからの変化を捉えることで、便秘の早期発見につながります。
– 便の量と性状(硬さ、形、色、匂い)ブリストル便形状スケールを用いて客観的に評価します。硬くてコロコロした便(スケール1-2)は、腸内の水分不足や蠕動運動の低下を示唆します。便の色や匂いは、消化管内の出血や感染の有無を知る手がかりになります。
– 排便時の状況(困難感、残便感、腹痛の有無)排便に強いいきみが必要な場合や、排便後もすっきりしない残便感は、便秘の代表的な症状です。直腸や骨盤底筋の機能低下が考えられます。
2. 腹部症状
– 腹部膨満感、腹痛、圧痛腸内に便やガスが溜まることで生じます。痛みの部位や性質を詳しく聴取し、触診で圧痛の有無を確認することで、問題の部位を推測します。
– 腸蠕動音(グル音)聴診器で腹部四区分(右上腹部、左上腹部、右下腹部、左下腹部)の腸蠕動音を聴取します。音が低下・消失している場合は、腸管の麻痺(麻痺性イレウス)が疑われます。逆に亢進している場合は、腸管が狭窄し、そこを通過させようと腸が過剰に動いている可能性(機械的イレウス)も考えられます。
– 腹部の硬さ、触知できる便塊腹部を触診し、硬さや便塊の有無を確認します。特に下行結腸やS状結腸に硬い便塊を触れることがあります。
3. 全身状態・随伴症状
– 食欲不振、嘔気・嘔吐便秘による腹部膨満感が原因で、食欲が低下したり、吐き気を催したりすることがあります。重度の便秘やイレウスを示唆する重要なサインです。
– バイタルサイン(血圧、脈拍、体温)腹痛や脱水、感染を伴う場合、バイタルサインに変化(血圧低下、頻脈、発熱など)が現れることがあります。
– 水分・食事摂取量水分摂取量の不足は便を硬くし、食物繊維の不足は便の量を減らすため、便秘の直接的な原因となります。
– 活動量・運動習慣活動量の低下は、腸の蠕動運動を弱める一因です。特に臥床がちな患者では注意が必要です。
4. 関連情報
– 既往歴糖尿病、甲状腺機能低下症、パーキンソン病などの疾患は、便秘を引き起こすことがあります。また、腹部の手術歴は癒着による腸閉塞のリスク因子です。
– 使用中の薬剤オピオイド系鎮痛薬、抗コリン薬、抗うつ薬など、多くの薬剤に副作用として便秘があります。薬剤の開始・変更のタイミングと便秘の出現時期を照らし合わせることが重要です。
– 環境の変化、精神的ストレス入院などによる環境の変化や、プライバシーが保てないトイレ環境、精神的なストレスは、排便を我慢する原因となり、便秘につながることがあります。

ケアへつなげる視点

これらの情報を統合し、「なぜこの患者は便秘になっているのか?」という原因をアセスメントすることが、適切なケア計画の立案につながります。

水分不足が原因? → 飲水量を増やす工夫を
活動量低下が原因? → 無理のない範囲での離床や運動を促す
薬剤が原因? → 医師や薬剤師に相談し、便秘薬の調整を検討する
精神的な要因? → プライバシーに配慮した環境調整や、不安の傾聴を行う

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