ハローベストのについて

ハローベストの看護について徹底解説

あずかん

頚椎骨折の患者さんが装着する「ハローベスト」。特徴的な見たことのない固定具に、どう看護すればいいのか戸惑う看護師さんも多いのではないでしょうか。この記事では、ハローベストの基礎知識から、具体的な看護のポイントまで、分かりやすく解説していきます。

目次

ハローベストとは

ハローベストは、主に上位頚椎(C1、C2)の骨折や脱臼など、重篤な頚椎損傷の治療に用いられる強力な外固定器具です。頭蓋骨に直接ピンを刺して金属製のリング(ハローリング)を固定し、そのリングを支柱(バー)でベストに連結することで、頭部と頚椎を完全に固定します。

手術(観血的治療)を行わずに、骨が癒合するまでの数ヶ月間、頚椎を正しい位置に保持することを目的としています。これにより、さらなる神経損傷を防ぎ、骨の治癒を促進します。

ハローベストの固定方法

ハローベストは、医師によって装着されます。具体的な手順は以下の通りです。

1.ベストの装着
患者の胸部にプラスチック製のベストを装着します。ベストは体のサイズに合わせて調整されます。
2.ハローリングの位置決め
頭の周りに金属製のハローリングを配置します。
3.ピンの刺入
局所麻酔の後、医師が頭蓋骨の4〜6ヶ所にピンをねじ込み、リングを頭部に固定します。ピンは、頭蓋骨の外板と内板の間にある「板間層」という部分に固定されます。
4.連結と最終調整
ハローリングとベストを支柱で連結し、X線で頚椎のアライメント(配列)を確認しながら、適切な位置に調整・固定します。

ピンの固定時には、患者に痛みや恐怖心を伴うことがあるため、十分な説明と精神的なサポートが不可欠です。

ハローベストの難点

ハローベストは強力な固定力を誇る一方、患者にとっては多くの困難を伴います。

  • 痛みと不快感
    • ピン刺入部の痛みや、ベストによる圧迫感、皮膚のかゆみなどが持続的に起こることがあります。
  • 日常生活動作(ADL)の制限
    • 整容: 頭が固定されているため、洗髪や洗顔が一人では困難です。
    • 食事: 嚥下がしにくくなることがあります。
    • 更衣: 上半身の衣服の着脱が非常に困難です。
    • 睡眠: 仰向けでしか眠れず、寝返りが打てないため、不眠になりやすいです。
  • 精神的ストレス
    • 長期間にわたる固定とADLの制限、そして特徴的な見た目から、患者は大きな精神的ストレスを感じ、不安や抑うつ状態に陥りやすいです。
  • 合併症のリスク
    • ピン感染: ピン刺入部が感染を起こすリスクがあります。
    • ピンの緩み: ピンが緩むと固定性が失われ、再調整が必要になります。
    • 皮膚トラブル: ベストの下の皮膚が蒸れやすく、発赤や褥瘡(床ずれ)のリスクがあります。
    • 転倒リスク: 頭部が重くなるためバランスがとりにくく、転倒しやすくなります。

看護のポイント

ピン刺入部の観察とケア

ピン感染は最も注意すべき合併症の一つです。

  • 観察: 発赤、腫脹、熱感、疼痛、排膿の有無を毎日観察します。
  • ケア方法: 医師の指示に従い、1日1〜2回、消毒液(クロルヘキシジンなど)や生理食塩水を用いてピン周囲を清拭します。ケアの際は、ピンに余計な力がかからないように注意します。

皮膚の観察とケア

ベストの下は、皮膚トラブルの好発部位です。

  • 観察: ベストの端や圧のかかる部分(肩、胸、背中など)の皮膚に、発赤やびらん、褥瘡がないか毎日観察します。
  • ケア方法
    • 清拭時は、タオルなどをベストと皮膚の隙間に入れて、できる限り清潔を保ちます。
    • かゆみがある場合は、無理に掻かずに、冷やしたり、隙間からドライヤーの冷風を送るなどの工夫をします。
    • 背中など、隙間が少ない部分は、定規のような薄い棒にガーゼを巻き付けて拭くこともあります。

日常生活の援助

患者ができるだけ安楽に過ごせるよう、積極的に日常生活を援助します。

  • 食事
    • 嚥下しやすいように、食事の形態(刻み食、ソフト食など)を栄養士と相談します。食事中は、誤嚥を防ぐために上半身を少し起こした体勢を保ちます。
  • 清潔
    • 洗髪ができないため、ドライシャンプーを使用したり、蒸しタオルで頭皮を拭いたりします。身体は、可能な範囲でシャワー浴や清拭を行います。
  • 更衣
    • 前開きの服や、マジックテープで着脱しやすいように工夫された服を用意します。
  • 安眠への工夫
    • 枕やクッションを使って、頭や首が安定し、安楽な姿勢が保てるように調整します。

精神的サポート

長期間の治療による患者の不安やストレスを理解し、共感的な態度で関わることが大切です。

  • 患者の話を傾聴し、思いを表出できる機会を作ります。
  • 治療の見通しや、できるようになったことを具体的に伝え、希望が持てるように支援します。
  • 必要であれば、臨床心理士や精神科医との連携も検討します。

緊急時の対応

以下の症状が見られた場合は、直ちに医師に報告が必要です。

  • ピンの緩み(患者が「ピンが動く感じがする」と訴えるなど)
  • 急な首の痛みや、手足のしびれ・麻痺の出現
  • 嚥下困難の増強
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