クローン病の病態から看護のポイントまで徹底解説!
あずかんクローン病は、消化管に原因不明の炎症を起こす慢性の疾患です。若年層に好発し、患者さんは長期にわたる治療と付き合っていく必要があり、私たち看護師は、そんな患者さんの身体的・精神的苦痛を理解し、適切なケアを提供することが求められます。
この記事では、クローン病の基礎知識から看護のポイントまで、詳しく解説します。
クローン病とは
クローン病は、口腔から肛門までの消化管のあらゆる部位に、非連続的(病変と正常な部分が混在する)な深い炎症や潰瘍が生じるのが特徴です。特に、小腸の終わり部分である回腸末端や大腸が好発部位とされています。
炎症は粘膜の浅い層から始まり、次第に消化管の壁の深くまで進行します。この深い縦走潰瘍(瘻孔)や、炎症による浮腫と線維化が進行することで腸管が狭くなる狭窄が特徴的な病態です。
クローン病の原因
クローン病の正確な原因は、まだ完全には解明されていません。しかし、複数の要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。
遺伝的要因
特定の遺伝子を持つ人が発症しやすいことが報告されています。
環境要因
食事(動物性脂肪やタンパク質の過剰摂取など)、喫煙、ストレス、腸内細菌叢の変化などが関与していると考えられています。
免疫異常
本来は体を守るはずの免疫システムが、何らかのきっかけで自身の腸管組織を異物とみなして過剰に攻撃してしまうことで、炎症が引き起こされると考えられています。
クローン病の症状
クローン病の症状は、炎症の部位や程度によって様々ですが、主に以下のような症状が見られます。
- 消化器症状
- 腹痛(特に右下腹部痛)、下痢、血便、体重減少が最も多く見られる症状です。食欲不振や全身倦怠感を伴うこともあります。
- 肛門部病変
- 痔瘻や肛門周囲膿瘍といった肛門のトラブルを高頻度に合併します。
- 全身症状
- 発熱もよく見られる症状の一つです。
- 合併症
- 腸管の狭窄や、腸と他の臓器がトンネルで繋がってしまう瘻孔、大量出血、穿孔などの腸管合併症を引き起こすことがあります。
治療・対症療法
クローン病は完治が難しい疾患ですが、治療の目標は、炎症を抑えて症状がない「寛解」の状態に導き、それを維持することです。治療法は、主に内科的治療と外科的治療に分けられます。
内科的治療
- 栄養療法
- 腸管の安静を保ち、栄養状態を改善するために行います。成分栄養剤(エレンタールなど)を経腸栄養で投与する方法が中心です。特に小腸に病変がある場合に有効とされています。食事療法として、低脂肪・低残渣食が基本となります。
- 薬物療法
- 5-ASA製剤(メサラジンなど): 軽症から中等症の炎症を抑えるために用いられます。
- ステロイド: 中等症から重症の強い炎症を速やかに抑えるために使用されます(寛解導入療法) 。
- 免疫調節薬(アザチオプリンなど): ステロイドからの離脱や、寛解状態を維持するために用いられます 。
- 生物学的製剤(抗TNF-α抗体製剤など): 他の治療で効果が不十分な場合や、重症例に用いられる注射薬です。炎症を引き起こす物質(サイトカイン)の働きをピンポイントで抑えます。
- 血球成分除去療法(GMA)
- 血液中から異常に活性化した白血球を取り除く治療法です 。
外科的治療
腸閉塞、穿孔、膿瘍形成、コントロール困難な瘻孔など、内科的治療では改善が難しい合併症に対して行われます。
狭窄した腸管を広げる手術や、病変部を切除する手術などがあります。
看護のポイント
症状のアセスメント
・腹痛の部位、程度、持続時間、食事との関連性を詳しく観察します。
・下痢の回数、性状(粘液や血液の有無)を正確に把握します。
・バイタルサイン、体重、食事摂取量、水分出納バランスを継続的にモニタリングし、全身状態の変化を早期に捉えます。
栄養療法・食事指導のサポート
・絶食や栄養療法中は、患者の苦痛やストレスを理解し、精神的な支えとなります。
・食事指導では、低脂肪・低残渣食の重要性を説明し、患者一人ひとりの病状やライフスタイルに合わせた食事内容を一緒に考えます。調理法の工夫(煮る、蒸すなど)や、避けるべき食品(脂肪の多い肉、揚げ物、食物繊維の多い野菜など)について具体的にアドバイスします。
薬物療法の管理
・処方された薬剤の効果や副作用について患者が正しく理解し、自己管理できるよう支援します。特に生物学的製剤の自己注射指導などは、手技の習得だけでなく、不安の軽減にも努めます。
スキンケア・ストーマケア
・下痢による肛門周囲の皮膚トラブルを予防するため、排便後の清拭・洗浄方法や、皮膚保護クリームの使用について指導します。
・ストーマを造設した患者に対しては、装具の交換手技の指導や、皮膚トラブルの予防、社会生活への適応を支援します。
精神的・社会的サポート
・クローン病は寛解と再燃を繰り返し、生涯にわたる治療が必要となるため、患者は将来への不安や社会的役割の喪失感などを抱えやすいです。そのため患者の思いに耳を傾け、受容的な態度で関わることが大切です。
・必要に応じて、医療ソーシャルワーカーや患者会などの社会資源の活用を提案します。