脳動静脈奇形について

あずかん

この記事では、脳皮下出血の原因の一つになる脳動静脈奇形について、詳しく解説していきます。

目次

脳動静脈奇形とは

脳動静脈奇形(AVM)とは、脳動脈と静脈が毛細血管を介さずに直接つながり(A-Vシャント)、拡張・蛇行した異常な血管の塊(ナイダス)を形成する脳血管の奇形のことである。胎生期の血管が形成される際に、何らかの原因で異常が生じると考えられており、放置すれば破綻して脳出血を引き起こしたり、てんかん発作を起こしたりする。

脳動静脈奇形の症状

AVMの症状として、ナイダスの破綻で生じる脳出血が多いが、ナイダスが破綻していない場合は、てんかん発作が代表的な症状となってくる。てんかん発作の原因として、圧の高い動脈血が圧の低い静脈に流れ込む(盗血現象)ため、周辺脳を刺激しけいれん発作を起こしている。

未破裂の場合
無症状
頭痛
てんかん
(頭痛やてんかんはナイダスの最大径が6cm以上のものが多い)

破裂の場合(脳出血やくも膜下出血による症状)
頭痛
嘔吐
運動麻痺・感覚障害
失語症
高次脳機能障害
死亡

スペッツラー・マーティン分類

ナイダスの血管径は比較的太く抵抗が低いため、大量の血液が流れ込む。脳動静脈奇形があっても、多くの場合は無症状で、出血を起こしてから判明する。
スペッツラー・マーティン分類を用いて、治療方針を決めていく。

治療方法

脳動静脈奇形に対する根治療法としての内科治療はない。そのため症状に対する対症療法となってくる。
脳血管内治療開頭能動静脈奇形摘出術の後に5~10%の確率で静脈閉塞が起こり、脳腫脹や出血を認めることがある。出血が多い場合は致命的となることがある。

内科治療

未破裂の場合
頭痛に対しては鎮痛薬、てんかん対しては抗てんかん薬を処方する。

破裂の場合
再出血を予防するため血圧コントロールや止血薬を投与する。
また、脳出血やクモ膜下出血による脳浮腫や頭蓋内圧亢進に対して浸透圧利尿薬を投与。

外科治療

脳動静脈奇形塞栓術
マイクロカテーテルを流入動脈に誘導し、プラチナ製コイルや液体塞栓物質OnyxTM、NBCAで塞栓する。脳動静脈奇形に流入している血管のみを塞栓することが必要(正常脳を栄養する血管を塞栓すると脳梗塞を生じる)。
手術中に処置しにくい栄養動脈を外科的切除前に処置しておくことで、手術中の出血量を抑え手術時間を短縮できる。

外科的切除術
流入動脈を丹念に止血切除しつつ、ナイダス周囲の血管を剥離する。主な流出静脈は温存し、最後に止血切断する必要がある。

定位放射線治療(ガンマナイフ治療)
ナイダスに放射線を照射する治療で、数十分から数時間で放射線照射が完了する。
大きさが10ml以下または最大径3cm以下のものが適応となる。

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