全介助での寝衣交換の手順と根拠
あずかん寝衣交換は、患者さんの清潔を保持し、爽快感を得てもらうための重要な看護ケアの一つです。特に、ご自身で動くことが難しい患者さんへの寝衣交換は、安全かつ安楽に実施するための知識と技術が求められます。
この記事では、四肢に麻痺がある患者さんや、脊椎外傷などでベッドから起き上がることができない「全介助」の患者さんを対象とした寝衣交換の手順と、その一つ一つの動きの根拠について、分かりやすく解説します。
準備物品
・新しい寝衣(患者さんの状態に合わせ、前開きのものなど着脱しやすいもの)
・バスタオルやタオルケット(保温・プライバシー保護のため)
・必要に応じて:清拭タオル、おむつ、防水シーツなど
寝衣交換の手順と根拠
| 上衣の交換 | 根拠 |
|---|---|
| 1. 準備と説明 ・患者さんに寝衣交換を行うことを説明し、同意を得る。 ・カーテンを閉め、プライバシーを保護する。 ・室温を調整する。 ・ベッドの高さを看護師がケアしやすい高さに調整する。 | ・インフォームド・コンセント: 患者さんの自己決定権を尊重し、不安を軽減します。 ・プライバシー保護: 患者さんの羞恥心に配慮し、尊厳を守ります。 ・安楽な環境: 室温を調整し、不必要な体温低下を防ぎます。 ・ボディメカニクス: 看護師の腰痛を予防し、安全で効率的なケアを提供します。 |
| 2. 上半身の準備 ・掛け物を胸元まで下ろし、バスタオルをかける。 ・患者さんの身体を側臥位にする。 | ・保温とプライバシー保護: 不必要な露出を避け、患者さんの羞恥心への配慮と体温低下を防ぎます。 ・安全な体位: 少ない力で患者さんを動かすことができ、ケアを行いやすくします。 |
| 3. 脱衣(健側から) ・患者さんの上になっている側(健側)の肩を少し持ち上げ、肩から袖を抜く。 ・寝衣の背中側の部分を患者さんの体の下に丸め込む。 | ・関節可動域の維持: 動きやすい健側から脱ぐことで、患側への負担を最小限にします。関節の拘縮予防にもつながります。 ・効率的なケア: 体の下に寝衣を整理することで、反対側を向いた際にスムーズに脱がせます。 |
| 4. 体位変換 ・患者さんを反対側の側臥位にする。 | ・安全なケアの継続: 患側の寝衣を安全に脱がせる体位を確保します。 |
| 5. 脱衣(患側から) ・体の下から寝衣を引き出し、患側の腕を支えながらゆっくりと袖を抜く。 | ・患部の保護: 患側の腕は看護師が支えることで、関節に無理な力がかかるのを防ぎ、脱臼や損傷のリスクを軽減します。 |
| 6. 更衣(患側から) ・新しい寝衣の袖に患側の腕から通す。 ・寝衣の背中側を体の下に丸め込む。 | ・患部への負担軽減: 動きにくい患側から着せることで、健側の腕を自由に動かせ、患者さんの負担を減らします。 ・効率的なケア: 脱衣時と同様に、体位変換後のケアをスムーズに行うための準備です。 |
| 7. 体位変換と仕上げ ・患者さんを再び反対側の側臥位にする。 ・体の下から寝衣を引き出し、健側の腕を通す。 ・仰臥位に戻し、衣服のしわを伸ばし、ボタンを留める。 | ・安楽な状態の確保: しわは褥瘡の原因となるため、しっかりと伸ばすことが重要です。 |
| 下衣の交換 | 看護の根拠 |
|---|---|
| 1. 準備 ・上衣と同様に、患者さんに説明し同意を得る。 ・下半身にバスタオルをかける。 | ・インフォームド・コンセントとプライバシー保護: 上半身と同様に、患者さんの尊厳を守り、安心してケアを受けてもらうために不可欠です。 |
| 2. 脱衣(腰を浮かせる場合) ・患者さんの両膝を立て、臀部を少し浮かせてもらう(可能な場合)。 ・臀部が浮かない場合は、側臥位にして片方ずつ脱がせる。 | ・患者さんの能力活用と負担軽減: 少しでも患者さん自身の力を活用することで、残存機能の維持につながります。難しい場合は、無理をせず安全な側臥位を選択します。 |
| 3. 脱衣(健側から) ・健側の足から先に脱がせる。 | ・関節可動域の維持: 上衣と同様に、動きやすい健側から行うことで、患側への負担を減らします。 |
| 4. 更衣(患側から) ・患側の足から先に新しいズボンを通す。 ・次に健側の足を通す。 | ・患部への負担軽減: 動きにくい患側から先に通すことで、着衣を容易にし、患者さんの負担を最小限にします。 |
| 5. 仕上げ ・臀部を浮かすか、側臥位を利用してズボンを腰まで引き上げる。 ・仰臥位に戻し、しわを伸ばす。 | ・安楽と褥瘡予防: 衣服のしわやねじれは、不快感や皮膚トラブルの原因となります。しっかりと整えることが大切です。 |
観察のポイント
皮膚の状態
発赤、表皮剥離、乾燥、湿潤などがないか確認します。特に骨が突出している部位(仙骨部、踵など)は注意深く観察します。
バイタルサイン
顔色、呼吸状態、脈拍などに変化がないか確認します。
安楽の状態
ケア中に苦痛な表情をしていないか、気分不快を訴えていないかなどを観察します。
関節可動域
関節の動きに制限がないか、動かした際に痛みがないかを確認します。