骨髄炎について

骨髄炎について|病態から看護のポイントまで徹底解説

あずかん

骨髄炎は、整形外科領域で遭遇する可能性のある重要な感染症の一つです。しかし、その病態や看護について、とっては複雑で難しいと感じることもあるかもしれません。
この記事では、骨髄炎の基礎知識から実践的な看護のポイントまで、分かりやすく解説します。

目次

骨髄炎とは

骨髄炎とは、骨組織の感染症です。骨の内部にある「骨髄」が細菌に感染し、炎症を起こします。

骨は血流が豊富な組織であり、一度細菌が侵入すると、血流に乗って広がりやすい特徴があります。炎症が起きると、骨髄内の圧力が上昇し、血行が障害されます。これにより、骨組織が壊死(腐骨形成)し、感染がさらに広がるという悪循環に陥ります。

慢性化すると、骨の変形や機能障害、さらには敗血症などの重篤な合併症を引き起こす可能性もあるため、早期発見・早期治療が非常に重要です。

骨髄炎の原因

骨髄炎は、細菌が骨に到達する経路によって、主に2つのタイプに分けられます。

血行性骨髄炎
体の他の部位の感染巣(例:扁桃炎、皮膚感染症など)から、細菌が血流に乗って骨に到達するもの。小児や高齢者、免疫力が低下している患者さんによく見られます。
直接侵入型骨髄炎
交通事故などによる開放骨折、手術(人工関節置換術など)、あるいは骨に達する深い傷(褥瘡など)から、細菌が直接骨に侵入するもの。

原因となる菌は、黄色ブドウ球菌が最も一般的ですが、他にもレンサ球菌、大腸菌など、さまざまな細菌が原因となり得ます。

骨髄炎の症状

骨髄炎の症状は、急性か慢性かによって異なります。

急性骨髄炎

患部の強い痛み(自発痛、圧痛)
発熱、悪寒、倦怠感などの全身症状
患部の発赤、腫脹(腫れ)、熱感

慢性骨髄炎

急性期ほどの激しい症状はなく、鈍い痛みが続いたり、軽快と増悪を繰り返したりする。
瘻孔と呼ばれる穴が皮膚にでき、そこから膿が排出されることがある。
全身症状はほとんど見られないことが多い。

特に高齢者では、典型的な症状が現れにくい「非定型」なケースもあるため、注意深い観察が必要です。

治療と対症療法

骨髄炎の治療は、感染をコントロールし、骨組織の破壊を防ぐことを目的とします。

  • 薬物療法
    • 抗菌薬の長期投与: 原因菌に感受性のある抗菌薬を、4〜6週間以上にわたり点滴で大量に投与するのが基本です。血液検査(CRP、白血球数など)の値をモニタリングしながら、治療効果を評価します。
    • 鎮痛薬: 痛みが強い場合には、鎮痛薬を使用して苦痛の緩和を図ります。
  • 外科的治療
    • デブリードマン: 感染によって壊死した骨組織(腐骨)や不良な肉芽組織を外科的に切除します。感染の温床となる部分を取り除くことで、抗菌薬の効果を高めます。
    • 洗浄: 手術中に大量の生理食塩水で患部を洗浄し、細菌を洗い流します。
    • 骨再建: 骨の欠損が大きい場合には、骨移植などを行い、骨の再生を促します。
  • 局所の安静
    • 患部への負担を避けるため、ギプスやシーネで固定し、安静を保ちます。

看護のポイント

全身状態の観察

・バイタルサイン(特に体温)を定期的に測定し、発熱や悪寒などの感染兆候の有無を観察します。
・血液検査データを把握し、炎症反応の推移を確認します。
抗菌薬の副作用(下痢、発疹、肝機能障害など)に注意します。

局所の観察とケア

患部の痛み、発赤、腫脹、熱感、膿の排出の有無などを注意深く観察します。
・手術創がある場合は、創部の状態や滲出液の量・性状を観察し、医師の指示に従って適切に処置します。
・瘻孔からの排膿がある場合は、皮膚を清潔に保ち、スキンケアを行います。
ギプスやシーネで固定している場合は、循環障害や神経麻痺(しびれ、知覚鈍麻など)が起きていないか、定期的に確認します。

安楽への援助

・痛みの程度をアセスメントし、鎮痛薬の適切な使用や、体位の工夫、安楽な環境の整備などを行います。
・長期にわたる安静や入院生活は、患者にとって大きなストレスとなります。不安や苦痛を傾聴し、精神的なサポートを行うことも看護師の重要な役割です。

患者教育

・疾患や治療について、患者やその家族が理解できるよう、分かりやすく説明します。
抗菌薬を自己中断しないことの重要性や、退院後の生活での注意点(患部の清潔保持、異常時の早期受診など)を指導します。

参考資料
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