術後ドレーンの観察項目

術後ドレーン管理について観察項目と根拠を徹底解説!

あずかん

術後の患者さんが安全に回復するためには、ドレーンの適切な管理が欠かせません。ドレーン管理は、術後合併症の早期発見と予防に直結する重要な看護ケアの一つです。
この記事では、術後ドレーン管理の基本となる「観察項目」と「その根拠」を分かりやすく表にまとめました。なぜその観察が必要なのかを理解することで、自信を持ってケアを実践できるようになりましょう。


目次

ドレーン管理の目的

まず、なぜドレーンを留置するのか、その目的を再確認しましょう。

体液の排出: 術野に溜まった血液、浸出液、洗浄液などを体外へ排出し、感染や臓器の圧迫を防ぎます。
情報収集: 排液の量や性状を観察し、術後出血や縫合不全などの合併症を早期に発見します。
治療的ドレナージ: 膿瘍や胸水などを排出し、治癒を促進します。
管腔の確保: 胆管チューブなど、管腔の狭窄を防ぐために留置します。


ドレーン管理の観察項目と根拠

ドレーン管理における観察は、主に「排液」「ドレーンバッグ」「ドレーン刺入部「ルート」の4つのポイントに分けられます。それぞれについて、具体的な観察項目とその根拠を表で見ていきましょう。

観察項目(WHAT)根拠(WHY)
排液術後出血の指標
術直後から時間経過とともに減少するのが一般的。急激な増加は活動性出血の可能性を疑う。
循環動態との関連:
排液の増減とバイタルサイン(血圧低下、頻脈など)を合わせてアセスメントする。
閉塞の可能性
急激な減少や停止は、ルートの屈曲・閉塞や脱落を考える。
性状(色・混濁)出血の評価
血性→淡血性→漿液性と変化するのが一般的。再び血性になる場合は再出血の可能性。
感染の兆候
混濁、膿性、悪臭がある場合は感染を疑う。
縫合不全のサイン
消化器系の術後、便汁様・胆汁様の排液は縫合不全の可能性が高い。
浮遊物フィブリン塊
少量であれば正常な経過。多い場合はルート閉塞の原因になる。
その他
壊死組織片や食物残渣など、異常な浮遊物がないか確認する。
ドレーンバッグ吸引圧適切な吸引圧の維持
処方された圧が維持されているか確認する。圧が適切でないと、ドレナージ不足や組織の損傷につながる。
圧の設定
医師の指示を確認し、正しく設定する。
ドレーン刺入部発赤・腫脹・熱感・疼痛感染兆候の早期発見
これらは感染の4徴候や刺入部周囲の皮膚状態を観察する。
定期的な消毒
刺入部は清潔に保ち、感染を予防する。
固定の状態偶発的抜去の防止
テープやフィルム材がしっかり固定されているか確認。剥がれや緩みがあれば補強・再固定する。
皮膚トラブルの観察
固定による皮膚のかぶれや損傷がないか確認する。
排液の漏れドレーン周囲からの漏れ
刺入部周囲のガーゼやドレッシング材が汚染されていないか確認。漏れが多い場合は、固定のずれやドレーン閉塞の可能性を考える。
ルート屈曲・圧迫・ねじれドレナージ効果の維持
ルートが曲がったり、患者の体で圧迫されたりすると、排液が妨げられる。体位変換時や移動時には特に注意が必要。
逆行性感染の予防
排液が逆流しないよう、ルートの走行を管理する。
ミルキング閉塞の予防
医師の指示がある場合に限り、適切にミルキングを行い、ルート内の凝血塊による閉塞を防ぐ。
※ルーチンでの実施は推奨されない場合が多い。
クランプ指示の確認
検査や移動、ドレーン抜去前など、医師の指示でクランプすることがある。指示なくクランプしないように注意する。

報告・記録のポイント

観察した内容は、正確に記録し、異常があった場合は速やかに医師や先輩看護師に報告することが重要です。

量の記録
時間ごとの排液量、累計量を正確に記録します。
性状の表現
「淡血性」「漿液性」など、共通言語で具体的に記録します。申し送りの際は、可能であれば実物を見せるのが最も確実です。
異常時の報告
「いつから」「どのような変化が」あったのかを具体的に伝えます。「排液が1時間で200ml増加し、血圧が90mmHg台に低下しています」のように、バイタルサインや患者の状態と合わせて報告しましょう。


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